2001年11月23日 ベオグラード  

サラエボからベオグラードまではバスで行くことにした。サラエボ・セルビア人地区のターミナルから、バスは出発する。
 「セルビア人」。僕は、この民族を ”非常に恐ろしい民族だ” と決め付けていた。

 ボスニアには3つの民族がある 「セルビア人」 「クロアチア人」 「ムスリム人」。しかし、3つの民族は、話す言語は同じ、顔・姿と同じ。元は同じ人種である。何が違うか? というと 宗教の違い だけなのである。
 そんな宗教の違いから、セルビア人はサラエボを占拠し、異なる民族を攻撃し始めた。あの紛争で、サラエボ市内だけで 1万人の被害者が出た。 「同じ人種を殺す民族 セルビア人」 というイメージが僕の頭から離れなかった。
 セルビア人地区に入った。ターミナルが分からなかったので、近くにいるオジちゃんに聞いてみた。あっち というジェスチャーをして、笑顔で答えてくれた。あまりにも意外だった。同じ人種に偏見を持ち、殺してしまう民族の人間が、東洋人に対して笑顔を作った。ワケが分からなくなってしまった。 「セルビア人って何なんだ」 そして「大量虐殺って何なんだろう」と。

 バスに乗り、無事国境まで着く。ボスニア側の出国はすんなりと。そして、ユーゴ入国は、バスから僕だけ降ろされ小屋に連れてかれた。パスポートを見る軍人。ある1ページを見られたとき、事態がやばくなった。
 『islamic republic of PAKISTAN』
 このビザを見た軍人は僕をニラみ、「テロリストか?」と聞く、そしてまた「CIAか?」と聞く。この平和を愛する のほほん とした顔を見れば、誰でも そんなデンジャラスでない と一目でわかるのに。それほど、パキスタンのビザはどこでも警戒されてしまう。
 『君はボスニアに戻らなくてはならない』と言われ、「そんな理不尽な」訴える俺。「では、荷物をバスから降ろしに行け」と言われ、軍人と一緒にバスまで行く。そして、バスに着くと、彼はスタンプを取り出し、入国スタンプを僕のパスポートに押してくれた。
彼は 『ニンジャ GO JUGO(ユーゴスラビア)』 と言った。(何だよ、単なる おちょくり だったのかよ) と安心したような、むかついたような。でも、僕は軍人の気を損ねないように、「シュリケンー、カタナー」と叫びながら、席に着いていった。つくづく気を使いすぎの俺。

 ベオグラードはサラエボのように街全体が破壊されてはなかった。サラエボは泊まったアパートにさえ銃弾あとが残っていたのに対し、ベオグラードは国防総省やら重要施設へのピンポイントだけだった。
 99年、NATO北大西洋条約機構が空爆をしたのは記憶に新しいと思う。その中でも一番驚かされた現場に行くことにした。それは ‘中国大使館’ 。誤爆という報道が流れたとき、思わず笑ってしまった事を覚えている。
 街の真ん中よりバスで10分ほど行った所にそれはあった。周りには、ほとんど何もない。軍事施設やらもない。そして、四方から爆撃されていた。そして、風でなびく中国国旗。見て思ったこと、ぜったい、誤爆でない。 わざとやったね、アメリカ軍。アメリカって、つくづく恐い国だなーと思った。報道は 誤爆 で一点張り、僕もそー思わされていた。でも、見れば分かる。誤爆でないことぐらい。やっぱ、こういうものは 自分の目で確かめなくては。

 ベオグラードの情報は、「地球の歩き方」には ほとんど載っていなかった。地図さえも。しかし、情報には何も困らなかった。
 それは、ベオグラードで泊った マリオビッチ宅 に素晴らしい情報ノートがあったためだった。ここの情報ノートは他の所と何となく異なっていた。それは、大使館員の方が情報など提供しているからであった。通常、大使館員というのはバックパッカーに対して非常に冷たい。わずかな金で旅を進める僕らを違う人種のように見る。
 しかし、ここの大使館員 ”イイノさん” は違った。パッカーのために、いろいろと尽くしてくれる方ということで、アジアではタレント並みに有名だった。そして、情報ノートに 「なにか こまった事があったら こちらに電話ください イイノ」 と書いてあった。そして時間外でも、留守録のなかに自分の携帯の番号にかけてというメッセージがあり、実際に相談にのってくれるようなのだ。他にいるのだろうか? こんな大使館員。

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